食に対する固定観念があった
中学校の時から「食=太る」という観念があった。
自分の中で理想の体型があったことと
夕食後に顔を真っ赤にしてお腹を出して寝ている父の姿を見て「こうなりたくない」と強く思ったこと
(他にもあるが)これらの理由で「食=太る」という考え方が染み付いてしまった。
また、外食も自分の中で「悪」になっていて、太るし金はかかるしで極力しないようにしていた。
外食をすることもあるが、自分の心の中には「太る」「金がなくなる」という思いがありあまり楽しむことができなかった。
そのような生活を人生の半分ほど続けていたものだから、食べても幸福度を感じられなくなった。
アイシールド21の進というキャラがチームメイトから弁当を勧められた時に「必要な栄養素は摂取したので」と言って断っているシーンがあったが、まさにそんな感じ。
自分が健康であるために必要な栄養素が摂取できていればいい。
このように考えているもんだから、サプリやプロテインで済ましても良い気もしている。
オイコスみたいな完全食でもいいなと思ったりもする。
拒食症にならなかったのが不思議な食生活だと自分も思う。
周りの人のおかげで少しずつ食べられるようになった
そんな自分が食べられるようになったのは筋トレと周りの人たちの影響が大きい。
筋トレは言わずもがななので割愛。
「身体を大きくしたければ食え」 By 友人
もう一方の周りの人たちのことである。
不思議なことに自分の周りには食べることに幸福を見出している人が多い(もちろん自分と同じような「食事=栄養の摂取」という人もいるが)。
休みになると街に繰り出して外食をしたり、自分で作ったりして、食べたいものを食べて幸せそうに生きている。
そういう幸せを積み重ねているものだから、日々が充実していて満足度も高そうなのだ。
はじめこのような幸せの感じ方が全く分からなかった。
だが、そのような友人たちの姿を見つづけていると「もしかしたら食べることに幸せを感じてもいいのかも」と思えるようになった。
美味しいものを食べた時には「美味しい」って言いたい。
ストレスもなく、太るという罪悪感もなく、食事を楽しんでみたい。
これまで抱えていた強迫観念が薄れ(消え去ったわけではない)、そのような思いが占めるようになった。
食への考え方が変わってから
「好きなものを食べよう」
薄れていく強迫観念に変わって、このような思いが生まれてきた。
「自分はなにが好きだったっけ?」と問うことも増えた。
「あの時食べた料理美味しかったよなぁ」と思い出すことも増えた。
そしてなにより、自分はこんなにも美味しいと感じるものがあったことに気づけた。
それが本当に嬉しかった。
これまでは「食べたら太る」だの「身体に悪い」だの余計なことばかり考えていた。
だけど、それらが消えただけでこんなにも好きなものが自分にはあった。
好きに蓋をしていたのは自分だった。
また1つ自分に素直になれた。
だが、強迫観念は完全に消えたわけではない。
まだ残穢があるので、これを処理しながら食というものを楽しめるようになれたらと思う。
そう思えた28歳のことだった。